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「幻影」(Vision)はリストの超絶技巧練習曲中比較的弾きやすい作品。しかし、前半の広いアルペジオが小さな手には厄介です。逆にこれを解決しさえすれば、第3曲同様の最も弾きやすい作品となります。
Lentoで始まる上段の重々しい主題。これを両手の親指に受け持たせ、左手のアルペジオを両手に割り当てると、殆どがオクターブ以内に収まり、腕の移動が激減し、劇的に弾きやすくなります。
左手の跳躍が大きくなるところでは、すべてを右に受け持たせる案もあります(下譜例2小節目ラスト以降)。右手のアルペジオが10度の開きとなりますので、少々難しくなります。左手の跳躍とどちらを取るかはお好みで。
下譜例部分も1部右手で取ると楽です。
下譜例部分は、右手の広いアルペジオが小さな手には厄介です。開始の1音のみ左手に受け持たせることで、弾きやすくなります。メロディは右手が受け持ちます。
しばらく続きますが、メロディが一番低いところでは、左手も受け持ちます。
これ以降は、難しいところはないと思いますので、割愛します。
冒頭、メロディを両手の親指を使い、手の交差をなくす弾き方をしているピアニストが居ないか確認したところ、トリフォノフがほぼおなじ指使いのようです。下記動画をご確認ください。特に奇異な指使いではないということが分かりますね。遠慮なく、聴衆や先生の前で披露しましょう。