ダニール・クラーメル Daniil Kramer Даниил КРАМЕР

6つの演奏会用練習曲 ШЕСТЬ КОНЦЕРТНЫХ ЭТЮДОВ

第3番 フモレスケ(”いたずらっ子”)　Этюд-юмореска("Чертик")

トカレフ来日時にアンコールで演奏した作品。この曲集の中核を成すと言っていい充実した内容です。

構成は、A-B-A形式。「agevole[アジェーヴォレ]軽やかに」で開始されるAは変ホ長調ですが、Bは変奏曲形式で多くの長調を渡り歩きます：

• A:♭3個
• B:♭3個→♭4個→♯7個→♯6個→♯4個→♯1個→♭1個→♭2個→♭3個→♭1個→♭2個→♭4個
• A:♭3個

Aは穏やかな音楽。嵐の前の静けさか、いたずらっ子が眠っている姿を想起させます。

Bはまさに「いたずらっ子」が自由に遊び回っているような印象。左手のストライド奏法に載った変幻自在な右手の即興的変奏が多彩な転調で繰り広げられます。再びAに戻ると、遊び回ったいたずらっ子が疲れて眠りこけているかの印象を受けます。 あるいは、Bは夢の中の情景なのかもしれません。