楽譜の比較 〜 Debussy ドビュッシー

12の練習曲

1. 中井正子校訂 実用版 ドビュッシーピアノ作品全集11「12の練習曲」 new
   最も奇抜な運指が書かれている楽譜が日本から出ておりました。音を出さないで抑え直す指ペダルや、アルペジオの指定のないところでの広い和音を同時に押さえる工夫など、役に立つ運指が多いです。校訂報告は殆どないが、括弧などでミスや抜けが訂正されている。ドビュエチュをなんとか切り崩したい社会人にはとてもお勧め出来ます。1575円という価格もお得です。下記は「4度のための」の譜例です。私の運指に近いです。(2007年初版)
   
   
   
2. ドビュッシー: 練習曲集/ヘンレ社原典版 [Henle: Debussy Douze Etudes pour le piano]
   運指が書かれている数少ない楽譜。詳細な校訂もうれしい。誤謬の訂正も徹底している。ドビュエチュを本格的に取り組むなら大いにお薦め出来ます。ただしこの運指は音楽的であるがそれほど思い切りはない。Amazonでは4300→3780円。ちょっと高めですがそれだけの価値は十分あります。

• 春秋社版 Debussy ピアノ作品集第2巻
  敢えて運指の無い楽譜を買うのであればこのあたりでしょうか。安川氏校訂の版も同様。ただし全音出版社の「ドビュッシー　12の練習曲」は誤りが多いのでお勧めできない。

前奏曲集、2つのアラベスク、子供の領分、ベルガマスク組曲

• ウィーン原典版 Debussy ピアノ作品集
  入念な校訂報告、正確な譜面、意外なOssiaを見られたりと、ドビュッシーでは最もお勧めできる楽譜です。運指はミシェル・ベロフによるもの。それほど意外性はありませんが信頼がおけます。日本語版及び「12の練習曲」の出版が待ち遠しいところです。